さて、物件は決まったけど、資金はどうやって用意しよう・・・
お店をはじめるには開業資金を用意しなければなりません。一番良いのは、計画をたててお金を貯めておくことなのですが、僕は全く準備していなかったです。十分な資金がないので、金融機関にお金を借りるという選択をしました。
オープンまでには物件契約費やオープンまでの家賃、お店の造作費用、食器や備品など予想以上に費用はたくさんかかります。僕の場合は、物件契約時の保証金130万円・前家賃22万円・店舗設備内装工事全般350万円・食器や備品50万円、その他経費+運転資金で148万円 あわせて計700万円が必要となりました。設備が何もないところに店舗を造る必要があったので、看板や内装工事だけでなく、水道配管やガス配管なども一から必要でした。よって店舗造作費用の総額は、どのぐらいなのだろうかと不安もありましたが、設計施工をお願いした建築士さんが、なるべく資金をかけないで良いお店ができるようにたくさん考え、工夫してくださりました。なので相場より安い予算での出店計画をすることができました。この物件で、タイ料理店は必ずうまくいくと妙な自信があったのですが、資金調達に対しても甘く見ていて、完璧な事業計画書であれば、全額融資を引き出すことができるだろうとタカをくくってました。
ちなみに物件は、日本橋駅直結の日本橋COREDOの裏にある建物の1階物件で、日本橋コレドの裏出口の目の前にありました。間口は5M程で形も良く、周辺のオフィスも多く昼間人口が多いのが最大のプラス要因で、平日のランチはかなり売上が見込める場所です。近くには繁盛店がいっぱいありましたし、競合するタイ料理店も近隣には1店舗だけなので、かなり良い物件だと感じてました。
その立地特性を存分に発揮できる店舗だということをアピールした事業計画を、希望通りの融資がおりるように入念に作成しました。しばらくしてお店のコンセプトや損益計画書が出来上がりました。うまく出来上がったのは良いですが、自分の思い込みばかりの、勘違いな事業計画になってしまっては困ると思い、出来上がった資料を詳しい人に添削してもらいたいと考えました。そこであるセミナーで知り合った、大手銀行出身のコンサルタントの方にお願いして添削指導をして頂きました。銀行マンとして融資経験をしている方の指導はとてもありがたいものでした。
コンサルタントの方は、とても親身になってくださり、2度も面談して頂き、事業計画書を手直ししてくださりました。心強い専門家の指導も受け、かなり自信のある事業計画書が出来上がりました。最初に融資を申請したのは、はじめての出店でも比較的融資がおりやすいといわれている、日本政策金融公庫でした。お店のコンセプトなどが書かれた事業計画書・お店の売上予測などが入った損益計画書・自身のこれまでを列記した経歴書の3点を持参して意気揚々と訪問しました。
はじめての面談では、今までのどんなことをしてきたかの自己紹介、独立してお店を出店する理由、出店場所やターゲットとなる客層、従業員の確保の方法、予算、売上予測からの資金回収期間など順に質問されました。
出店予定の物件は約6坪とかなり小さく、その区画内で厨房と客席を工面しなければなりませんでした。提出した図面の席数は12席と席数は少ないのですが、オフィス街の中心地なので昼食のテイクアウトは相当見込めると思ってました。なのでお店のコンセプトであるお弁当販売の比率をかなり高く設定して計画書におりこみました。計画では1日約65個、店内の客数は50人と売上予測資料に入れて提出してました。この売上予測を見て担当者からこの売上は現実味がないと指摘されました。
お店の広さから考えたら、来店して飲食してくれる人数もテイクアウト人数もそんなに多くくるわけがないという意見をされました。しかしこのまま引き下がってはいけないと思い、以前に似たようなオフィス街でお店を運営していた実績を話し、そのお店のデータから導き出した売上見込みだということを、周辺の人口データを見せながら説明したのですが、あまり納得されていないようでした。
いまになって手元にある当時の金融機関への提出資料を眺めているのですが、確かにデータ上は似た立地なのでとても良いのですが、いくらデータが良くても実際にお店を出店してみないとわかりません。改めて資料を見てみるとずいぶん大きなこと書いてるなと恥ずかしくなります。特に事業展開を説明した資料では3年後には3店舗に拡大して、5年後にはさらに出店数が増えていて、とても恥ずかしい内容でした。
面談担当者からは現実的なツッコミをたくさん入れられ、はたして満足のいく融資が受けられるのだろうかと内心不安に思いました。1時間程度の面談だったのですが、面談担当者から最後に質問されたのは、自己資金をいくら出せるのかということでした。少し予想はしていましたが、出店実績がないので未確定部分が多く、出店費用の半分は自己資金を用意して経営を行うのが望ましいとのことでした。
希望融資額は700万円だったのですが、自己資金をどこまで出せるかが今後融資を実行してもらえるかの焦点となりました。1回目の面談では、その場で自己資金可能金額を答えることができず、次回の面談へ持ち越しとなりました。1回の面談で融資申し込みまで話をまとめることができなかったことも、満足な融資をうけるには不利に動くと思います。面談担当者にすぐに答えることができなかった理由は、この時点で自己資金として用意できるのは資金総額の半分にも満たない200万円程度だったのです。
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