日本政策銀行との2度目の面談も失敗
前回の面談の宿題であった、自己資金をいくら用意できるかを伝えるため日本政策金融公庫へ2度目の訪問をしました。自己資金は200万円まで用意ができるので、なんとか残り500万円を融資して欲しいと伝えました。担当者はしばらく資料を見直して、自己資金が少ないため、融資500万円は難しいので条件付き融資金額400万円で申し込みをしましょうと結論が出ました。その条件とは自己資金を300万円に増やすことでした。この提案の時点で思ったことは、時間をかければ、自己資金300万円のうちの足らない100万円を工面することはできたと思います。しかしこの時は、早くオープンしなければ収入が入ってこない状態が長くなり、生活が大変になるというあせりから、時間の余裕を持てませんでした。それから、独立するときには一番頼りになるといわれている「日本政策金融公庫」への融資申し込みだから何とかなるだろうとの安易な気持ちがあって「自分で用意できるのは200万が限界で、それ以上は無理です」と力強く答えてしまいました。この時、担当者の表情が少し曇ったのをいまでも覚えています。
結局200万円の自己資金に対し、400万円の融資で審査に申し込むことになりました。
(後から考えてみると、100万円の追加自己資金をなんとか工面しますと、絶対言うべきだったと大変後悔してます。もし工面できなくても資金調達のために努力したことや出店に対する熱意が相手に伝えることはのちのち貴重な経験となりますし、全額とはいかなくても融資がおりたような気がします。おそらく面談担当者は本人の出店に対する熱意や本当にこの場所でお店を出したいのかといったものを見ていたのだと思います。)
後日電話にて、融資に関する回答がきました。最悪全額とはいかなくても希望額の半分以上は融資がおりるだろうと考えていましたが、結果は融資金額0円というものでした。世に言う0回答といわれるものです。回答を受けたときは、融資額が全くなかったことのショックが大きく、絶望感を感じたことを覚えてます。あの時、追加資金の工面をする努力をすれば、せめて減額での融資が受けられたのではないかと後悔しました。独立したときの最初の挫折でした。しかし、お店の物件を確保してしまった以上後戻りはできません。別の方法で、なんとか費用を工面することはできないかと考えました。
メンターの出現
融資を受けるため、改めて計画を練ったのですが、この時にいろいろ助言をしてくれた方がいらっしゃいました。普段から仲良くさせて頂いていた和食店経営者のTさんという方でした。
Tさんは、日本橋や表参道で3店舗ほど和食店の経営をされておりました。以前タイ料理店に勤めていたころ、全く新しい試みの店舗を立ち上げたときに、お店のコンセプトからメニュー設定、運営を一緒に行ったことがご縁で大変親しくなりました。Tさんはこの頃、和食店を経営していたのですが、タイ料理に興味をもち、タイ料理を勉強したいとアルバイトでお店にきていました。新しい店舗を行うときに会社で前例のないスタイルだったため、自分でお店を切り盛りしている、Tさんに白羽の矢をたてたのです。この時の仕事はとても楽しかったです。のちに自分でお店を出すときの基礎みたいなものはこの時に培うことができました。Tさんは年は少し上でしたが、とても親切に接してくださりTさんがお店を初めて出店した時の苦労話や、独立するための心構えなどを教えてくださった方です。
Tさんに融資がおりなかった経緯を話すと、ご厚意で、Tさんの取引金融機関をご紹介して頂きました。Tさんはその金融機関にとってかなり上客のようで、信頼度は申し分ありませんでした。金融機関の担当者も、Tさんのご紹介ということで、親身に話を聞いてくださりました。打合せの結果、オープン後の運転資金を少し考えましょうということで、前回より少し高い必要総額800万円で計画をたて、自己資金250万円に設定し、融資総額は550万円で申請をしました。
今回の融資申請は信用保証協会を使ったものでした。信用保証協会を通すことによって金利も低く借りることができます。ただ審査が少し時間がかかるとの前置きがありました。担当者の感触も悪くなく、必要資料も一通り揃えて、無事融資審査へすすめました。今回こそうまくいくだろうと期待し、改めて物件のサブリース先に大まかな資金が用意できるスケジュールを伝えました。(この時点では、融資がおりるまで契約をまってもらってました。)
融資がおりるものと思い、並行して建築士の方ともスケジュールなど打合せを始めていました。しかし結果的に、この審査も見事に融資額0円の回答をもらってしまったのです。
当初の目論見は見事に外れ、またもや融資をうけることができませんでした。2度目の失敗を通じて計画は綿密かつ慎重に行わなければならないと実感しました。融資がおりない最大の原因は自己資金額が少ないことなのは明らかでした。さらに独立するタイ料理事業の経験も少なく、さらには飲食店を出店するのに、肝心かなめの料理は従業員を雇って任せる予定だということなど、融資する側にとっては不安要素ばかりでした。もし僕が融資立場でも不安になるでしょう。やはり独立のために何年も前から計画し、お金を貯めて自己資金を多くしなければ、満足な融資を受けることは難しいことがわかりました。融資がおりない理由はわかりましたので、自己資金を捻出するために、まずは奥さんに今までの経緯と、出店をするには自己資金を多く調達しなければならなくなったことを説明しました。独立することを事前に相談しなかったことや、計画をしっかり立てて行動しなかったことでかなり怒られましたが、相談の結果、本当に使いたくはなかったですが、子供のために貯金をしていた大事な資金を使わせてもらいました。それから親にも頼んで資金の一部を借り、さらにタイ人経営者のGさんからも資金の一部を貸していただくことができ、ようやく500万円ほどの資金の工面がつきました。しかし出店のためにはまだ資金が足りませんでした。そこで足らない資金は前回融資相談した金融機関に再度相談しました。金利が高いのだけれども融資がおりやすい2種類の事業ローン審査を受けることにしました。
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