タイかぶれ食堂ができるまで 〜オープンまでの準備②〜

オープンの予定は、大安の日に決めていました。内装工事や店内の準備を考えると最短の候補日は、2013年8月29日でした。夏の期間にオープンをしたいという気持ちが強く、8月中のオープンが希望でした。しかし物理的に無理があると結論が出て、次の候補日の9月4日の大安の日に決定しました。

ここまでの道のりは決して順調ではなく、まず資金調達でつまいてしまい、その後全てにおいてドタバタでした。まず内装工事ですが、厨房機器搬入作業も合わせて、約2週間ほどで仕上げて頂きました。出店予算が少なく、予算内に抑えるためにいろいろアイデアを出して頂きました。厨房機器まで予算に合うように細かく選定して頂いたりと、いろいろ助けてくださった内装デザイナーさんのおかげで、予定通りオープンできました。このデザイナーさんと出会わなかったら多分失敗していたと思います。さらにオープン計画が杜撰だったため、光回線の開通依頼も遅かったり、右往左往していました。また今回初めて仕事をするコックとの打ち合わせも不十分のまま、あっという間にオープンまで1週間を切っていました。

オープンが差し迫った2013年9月1日に不測の事態は起きました。なんとお店のガス開栓の手配を忘れていたことに気づいたのでした。慌ててガス会社に連絡をしましたが、ガス会社の担当者からは「開栓まで1週間ぐらいかかるかもしれない」と言われてしまいました。この時はさすがに、オープン日を遅らせるしかないのかなと半ば諦めました。しかし家賃も発生している為、オープン日をこれ以上遅らせたくはないので、必死にお願いしたところ、ガス会社さんのご厚意もあり、なんとか開店1日前に作業をしていただくことができました。この1日前のガス開栓作業が更なる失態を生み出してしまうのでした。

オープン前日に無事ガスが開栓されました。ここまでの道は決して平坦ではありませんでしたが、ようやくオープンまでの区切りがつきました。

『あとは細かいところをチェックして、オープンを待つばかり・・・』とホッとしたところで、明日のオープンに向けてメインの料理を作ってもらおうと考えました。お店のコンセプトはタイ屋台料理です。そしてタイ料理といえば人気なのが「ガパオライス」という愛称で親しまれている、お肉とタイバジルを炒めた料理や「パッタイ」といった、タイ料理の基本定番料理です。お店の看板商品は「ガパオライス」にしようと決めていました。もちろん独立前の店で、コックに学んで自分でも作っていましたので、そのガパオの味をを覚えてもらおうと今回一緒やっていくコックのデットさんに厨房に立ってもらいました。

「デットさんガパオ作って」

デットさんは人見知りな性格のようで、返事が聞こえません。厨房で黙って立っています。

たいていのタイ人コックならば、定番のタイ料理はわけもなく作れます。しかも来日20年以上のベテランコックで銀座の老舗タイ料理店出身のコックです。日本でのタイ料理店の経験は豊富なはずです。

しばらくの沈黙の後、オープン準備最大の危機がやってきました。デットさんが一言

「わからない」・・・

えっ!?・・・ うそでしょ・・?

このときはデットさんの「わからない」の真意がわからなかったので、全く料理が作れないものなのかと思ってしまい、半分パニックになりました。

結局、デットさんの「わからない」の意味はこのお店のガパオはどのような味、材料で出すのかということだったのですが、僕が以前にお料理を教えてもらったコックさんのレシピを伝えることで事なきをえました。

この出来事で前途多難なお店だと覚悟するのでした。

ドタバタだったオープン準備もなんとか完了し、明日は待ちに待ったお店のオープンです。

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